海外展開では、現地パートナーへの依存は避けられません。問題は依存そのものではなく、依存が制御不能になる条件です。どこから危険になるのか、その条件を挙げます。
依存の3つの層
| 層 | 内容 | リスク度 |
|---|---|---|
| 実務の依存 | 配荷、販促、通関、現地対応を任せる | 低い(本来の役割) |
| 情報の依存 | 市場の状況を、相手の報告でしか知らない | 高い |
| 資産の依存 | 製品登録、顧客との関係、ブランド認知が相手に紐づく | 非常に高い |
1層目は健全な分業です。危険なのは2層目と3層目で、ここに入ると関係の主導権が失われます。
情報の依存が生む歪み
市場の状況を相手の報告だけで知っている状態では、次の判断ができません。
- 売れていない理由が、製品なのか販促なのか分からない
- 提示された条件が、市場の相場として妥当か分からない
- 「この市場ではこれが普通です」という説明を検証できない
- 他のパートナー候補と比較できない
資産の依存が最も危険
最も深刻なのが、事業資産が相手に紐づいてしまうことです。
- 製品登録が相手名義:契約終了で登録を失う。取り直しに数か月〜1年
- 顧客・小売との関係が相手経由:切り替え時に販路が消える
- ブランド名の商標が相手名義:最悪の場合、自社が使えなくなる
- 現地の商品ページ・SNSが相手管理:蓄積したレビューと認知を失う
商標は特に注意が必要です。現地で先に商標を取られると、自社ブランドで販売できなくなることがあります。参入前に自社名義で出願しておくべきです。
依存を制御可能にする
依存を無くすことはできません。制御可能にするための具体策は次の通りです。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 情報を自分でも取る | 現地ECのレビュー、競合価格、モールの順位を自社でも確認する |
| 数字を条件にする | 販売数・在庫・配荷店舗数の報告を契約義務にする |
| 資産を自社に置く | 商標は自社名義。登録名義は代理店以外を検討する |
| 候補を複数持つ | 1社しか候補がない状態を作らない |
| 現地に行く | 年1回以上、実際に棚を見る |
良い関係と、依存は違う
誤解されがちですが、これらの対策は相手を疑うためのものではありません。
むしろ逆で、数字を共有し、状況を把握したうえで一緒に次の一手を考えられる関係のほうが、健全で長続きします。まともなパートナーほど、こうした要求に応じます。
情報を出したがらない相手は、それ自体が判断材料です。