製品登録の必要書類は、リストにすれば5〜10点です。しかし実際に揃うまでには数か月かかることが珍しくありません。リストの長さと所要時間は比例しません。
書類を3つに分類する
| 分類 | 例 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 自社で作れる | 製品仕様書、ラベル案、成分表 | 数日〜数週間 |
| 公的機関から取得 | 自由販売証明書、各種認証 | 数週間〜数か月 |
| 第三者に依頼 | GMP証明(製造委託先)、原料の由来証明(原料メーカー) | 相手次第。読めない |
3つ目が最大のリスクです。自社ではコントロールできず、相手の対応速度に完全に依存します。
第三者依存の書類が詰まる理由
製造委託先や原料メーカーからの書類取得が遅れる理由は、悪意ではなく構造的なものです。
- 相手にとって、その依頼は優先順位が低い
- 担当者がおらず、たらい回しになる
- 過去に発行したことがなく、社内で判断できない
- 守秘の観点から、開示を渋る(とくに配合率)
- 英文での発行に慣れておらず、時間がかかる
前倒しの原則
書類集めを前倒しする原則は単純です。市場が決まる前から着手できるものは、先に取る。
- 自由販売証明書:どの市場でも要る。市場が未定でも取得できる
- GMP証明:製造委託先に、取得可否を先に確認する
- 成分表の英文化:市場を問わず必要。先に整備する
- 原料の由来証明:ハラール市場を視野に入れるなら、早期に依頼する
- 安全性データの整理:既存のデータを英文で整理しておく
これらはどの市場を選んでも無駄にならない投資です。市場選定と並行して進めるべきです。
第三者への依頼のコツ
製造委託先や原料メーカーへの依頼を早く進めるための実務的な工夫があります。
- 何に使うかを説明する:目的が分かると、相手も判断しやすい
- 期限を明示する:「なるべく早く」では動かない
- 様式を提示する:相手が一から考えなくて済むようにする
- まとめて依頼する:複数市場分を一度に依頼する
- 窓口を特定する:たらい回しを避けるため、担当者を確定させる
複数市場分をまとめて依頼するのが最も効率的です。1市場ずつ依頼すると、そのたびに同じ往復が発生します。
取得できない場合の判断
書類が取得できないことが判明した場合、選択肢は限られます。
- 製造委託先を変える(開発からやり直しになる可能性がある)
- その市場を諦める
- 書類が不要な参入方法を選ぶ(越境ECなど)
- 製造委託先と交渉し、条件付きで取得する
いずれも重い判断です。だからこそ、製品開発の段階で「輸出可能な体制か」を確認しておくことが理想です。後から変えるのは、ほぼ不可能です。