最低発注量(MOQ)は、メーカーと代理店で利害が真っ向から対立する条件です。メーカーは高く設定したく、代理店は低く抑えたい。この対立を条件設計でどう解くかを見ます。
なぜ対立するのか
| 立場 | 主張 | 理由 |
|---|---|---|
| メーカー | 最低発注量を高く設定したい | 生産ロット、在庫リスク、独占の対価 |
| 代理店 | 低く抑えたい、または設定したくない | 在庫リスクを負いたくない。売れるか不明 |
どちらの主張も正当です。どちらが在庫リスクを負うかという問題であり、それは価格に反映されるべきものです。
2種類の最低発注量
最低発注量には性質の違う2種類があります。混同しないことが重要です。
- 1回あたりの最低発注量:生産と輸送の効率から決まる。物理的な制約
- 年間の最低購入量:独占権の対価として設定する。契約上の制約
数量が読めないときの設計
初年度は誰にも数量が読めません。その前提で設計する方法があります。
- 初年度は低く、2年目以降を段階的に上げる:立ち上げの負担を軽くする
- 初回発注のみ数量を定め、以降は実績連動にする:柔軟性を残す
- 未達時の措置を「独占解除」にする:違約金より現実的。相手も受け入れやすい
- 四半期ごとに見直す条項を入れる:状況変化に対応できる
3番目が最も実務的です。違約金は請求が難しく、関係も壊れます。独占解除であれば、自然な形で選択肢を取り戻せます。
需要予測をすり合わせる
数量を決める前に、根拠をすり合わせるべきです。
- 想定する配荷店舗数と、1店舗あたりの月間販売数
- ECでの想定販売数
- 初回の店頭在庫(配荷時に必要な数量)
- 安全在庫の水準
- 発注から入荷までのリードタイム
この計算を相手と一緒に行うことが重要です。数字の押し付け合いではなく、共通の前提から導出すれば、双方が納得しやすい。
在庫リスクを価格に反映する
最終的に、最低発注量と価格はセットで交渉すべきです。
| 条件 | 価格の考え方 |
|---|---|
| 最低発注量が高い | 相手が在庫リスクを負う。卸価格を下げる余地がある |
| 最低発注量が低い | 自社が在庫リスクを負う。卸価格を維持する |
| 独占あり | 数量条件を強める。または価格で調整する |
| 非独占 | 数量条件は緩めてよい。他社も入れられる |
数量と価格と独占の3つを、セットで設計する。個別に交渉すると、相手に有利な組み合わせだけを取られます。