最初の市場が決まらないまま数か月が過ぎる。海外展開で最も頻繁に起きる停滞です。原因は情報不足ではなく決め方が決まっていないこと。この記事では、4軸で機械的に絞る手順を示します。
4軸を、2段階で使う
需要・競合・規制・コストの4軸は、同時に見るのではなく2段階に分けて使います。
- 第1段階(足切り):規制とコストで、出せない市場・価格が成立しない市場を落とす
- 第2段階(選択):残った市場を、需要と競合で評価して順位をつける
この順序が重要です。需要から入ると、魅力的だが出せない市場に時間を使います。まず出せる市場を確定させてから、その中で選ぶ。
第1段階 — 規制で落とす
全成分表を用意し、13市場それぞれで「そのまま出せる/要対応/不可」を判定します。判定の結果、次のように分かれます。
- そのまま出せる:候補として残す
- 軽い要対応(表示変更、書類追加):候補として残す
- 重い要対応(処方変更):初回の候補からは外す
- 不可:候補から外す
第1段階 — コストで落とす
残った市場について、現地小売価格から逆算します。
- 現地の競合が並ぶ棚の価格帯を確認する
- 小売マージン、代理店マージンを引く
- 関税・輸送費を引く
- 残った金額が、自社の卸価格として成立するかを見る
成立しない市場は、この時点で落とします。価格が合わない市場に、営業努力で参入することはできません。
第2段階 — 需要と競合で順位をつける
残った市場を、次の観点で比較します。
| 観点 | 見るもの |
|---|---|
| 需要の実在 | そのカテゴリが実際に買われているか。日本製への支持があるか |
| 自社の位置 | 想定価格帯に競合が何社いるか。自社が入る隙間があるか |
| 訴求の通用度 | 国内で効いている訴求が、現地でも意味を持つか |
| パートナーの層 | 候補になる代理店・小売が複数存在するか |
| 検証の速さ | 出してから反応が見えるまでの期間 |
最後の「検証の速さ」は軽視されがちですが、1市場目では最重要です。早く結果が見える市場を選ぶことで、2市場目の判断が速くなります。
決められないときの判断
2〜3市場が横並びで残ったとき、迷い続けるのが最悪です。次の基準で決めてください。
- すでに接点がある市場(訪日客の多い国、問い合わせが来た国、知人がいる国)を選ぶ
- 距離が近く、担当者が実際に行ける市場を選ぶ
- 書類の型が他市場に流用しやすい市場を選ぶ
- それでも決まらなければ、規制が最も軽い市場を選ぶ
1市場目の目的は成功ではなく型を作ることです。完璧な選択より、早く回すことのほうが価値があります。