1市場目に参入した後、次をどう決めるか。ここで多くの企業がまた市場調査から始めますが、その必要はありません。最も精度の高い材料は、1市場目で得た自社の実データです。
1市場目から取れる情報
1市場目で売れた(または売れなかった)という結果には、次の情報が含まれています。
- 誰が買ったか:年齢、性別、購買力、ライフスタイル
- なぜ買ったか:レビューと問い合わせから読み取れる購買理由
- どこで買ったか:機能したチャネル
- いくらで買ったか:受容された価格帯
- 何が不満だったか:改善すべき点
これらは市場調査レポートでは絶対に得られない一次情報です。次の市場選定は、ここから始めるべきです。
「なぜ売れたか」で次が決まる
購買理由が何だったかによって、次に狙うべき市場が変わります。
| 1市場目での購買理由 | 次に狙うべき市場の性格 |
|---|---|
| 日本製という信頼 | 日本製への評価が高い市場(台湾、香港、タイ) |
| 特定の成分・機能 | その悩みやニーズが存在する市場(気候・生活習慣で選ぶ) |
| 価格の手頃さ | 同じ価格帯が成立する購買力の市場 |
| ブランドの世界観 | 感度の高い都市部を持つ市場 |
| 贈答用途 | 贈答文化がある市場(GCC、中華圏) |
書類の流用効率も判断材料
次の市場を選ぶとき、需要だけでなく準備コストも見るべきです。
- GCC内での横展開:書類の流用効率が最も高い
- 東南アジア内:一部流用できるが、国ごとの手続きが必要
- 中華圏(台湾・香港):制度は異なるが、言語と嗜好が近い
- アジアからGCCへ:ハラール対応という新たな準備が必要
同じ需要が見込めるなら、準備コストが低い市場を先に選ぶのが合理的です。
同時展開すべきか、順番に行くべきか
2市場目以降、複数市場に同時展開する誘惑があります。判断基準は担当者のリソースです。
- 順番に行くべき場合:担当者が兼務/初めての横展開/製品ラインが多い
- 同時に行ける場合:専任担当がいる/書類がすでに揃っている/同一パートナーが複数国をカバーする
実務上、3市場を超えると管理が急に難しくなります。製品数×市場数の組み合わせで、登録の更新期限、規制改定、在庫、価格の管理対象が増えるためです。
撤退も横展開の一部
次の市場に進むとき、既存市場をどうするかも判断すべきです。
1市場目が伸びていないなら、リソースを次に振り向けるべきかもしれません。すべての市場を維持し続ける必要はありません。撤退の判断基準については、別の記事で扱います。