海外展開の第一歩として越境ECを選ぶ会社は増えています。在庫を現地に置かず、登録も不要または簡易で済み、失敗しても失うものが少ない。ただしこの型にははっきりした上限があります。
最初の3か月で分かること
越境ECを始めて最初に分かるのは、売上ではなくどこの国から、どの製品に、どんな検索で来ているかです。これは市場調査では得られない一次情報です。
- 想定していなかった国から注文が来る(市場選定の前提が変わる)
- 想定と違う製品が売れる(主力製品の見直し材料になる)
- 問い合わせの内容から、現地で何が分かりにくいかが見える
- 返品・クレームの理由から、物流と表示の課題が見える
頭打ちが来る3つの理由
越境ECは、多くの場合月商が一定水準で止まります。理由ははっきりしています。
- 送料:単価に対して送料の比率が高く、価格競争力が出ない
- 配送日数:現地ブランドが翌日届く市場で、2週間待たせるのは不利
- 認知の限界:自社サイトへ集客する手段が限られ、新規が増えない
これらは努力で解決できる性質のものではありません。構造的な上限だと理解して、次の型への移行を計画すべきです。
モール出店への移行
最も一般的な次の一手が、現地の主要ECモールへの出店です。集客をモールに依存できるため、認知の限界を突破できます。
ただし移行にあたって注意すべき点があります。現地倉庫に在庫を置くなら、その時点で製品登録が必要になる市場が大半です。越境ECでは不要だった手続きが発生するため、モール出店の計画は登録リードタイムから逆算する必要があります。
代理店への移行と、その難しさ
越境ECで実績を作ってから代理店を探すのは正しい順序ですが、ひとつ問題が起きます。すでに自社が売っている価格が、市場の基準になっていることです。
代理店は自社の卸価格に対してマージンを乗せます。越境ECの価格が安すぎると、代理店が乗せた価格では売れない、という矛盾が起きます。
越境ECを残すか、畳むか
代理店を入れた後、越境ECをどうするかは論点になります。代理店は「自社が売る市場で、メーカーが直販するのはおかしい」と主張することが多い。
実務的な落としどころは次のいずれかです。
- 代理店が扱う市場向けの越境販売は停止し、未進出国のみ継続する
- 越境ECは限定品・新製品のテスト販売の場として残す
- 価格を代理店の販売価格に揃え、ブランド公式の窓口として維持する
いずれにせよ、契約前に決めて条項に入れておくことです。後から揉めると関係そのものが悪化します。