海外展開の相談で最も多いのが「現地の代理店を探したい」です。卸の型は在庫リスクも販促負担も相手が持つため、メーカー側の負担が最も軽い。しかし結果のばらつきが最も大きい型でもあります。
なぜ卸が選ばれるのか
理由は明快です。現地の商習慣、規制、流通網、言語。これらをすべて自社で持つのは現実的ではなく、すでに持っている相手に任せるほうが速い。
とくに製品登録を代理店名義で行える市場では、代理店を決めることが参入の前提条件になります。この場合、代理店選定はチャネル選択ではなく参入そのものです。
最初の1年で起きること
契約後の典型的な流れは次のようになります。
- 製品登録の申請(市場により2〜8か月)
- 初回発注と初回出荷(登録完了後)
- 代理店による配荷開始(既存の取引先小売へ)
- 3〜6か月後、リピート発注が来るかどうかで結果が見え始める
止まるパターン
卸の型が止まるときの理由は、だいたい次のどれかです。
| 症状 | 実際の原因 | 対処 |
|---|---|---|
| リピート発注が来ない | 店頭で動いていない。販促が行われていない | 販促計画を契約に組み込む。POSデータの共有を求める |
| 配荷が広がらない | 代理店の取引先網が想定と違った | 契約前に取引先リストと実績を確認する |
| 価格が想定より高い | マージンが積み上がっている | 小売価格から逆算した卸価格を先に設計する |
| 連絡が減る | 優先度が下がっている。他ブランドに注力 | 定例の報告と数値共有を契約条項にする |
独占権を、簡単に渡さない
代理店はほぼ必ず独占権を求めます。投資を回収する必要があるという主張は妥当ですが、無条件の独占は最も危険な条件です。
独占権を与えるなら、必ず次をセットにします。
- 期間を区切る:初回は1年、実績を見て更新する
- 数量条件を付ける:年間の最低購入量を定め、未達なら独占が解除される
- 範囲を限定する:国単位か、チャネル単位か、カテゴリ単位かを明記する
- 解除条件を明記する:どうなれば解除できるかを事前に書く
独占を与えたまま代理店が動かず、契約期間中その市場が完全に止まる。これは実際によく起きる事故です。
任せきりにしないための仕組み
卸の型で成果を出しているメーカーは、任せきりにしていません。かといって細かく口を出すわけでもない。共通しているのは数字を共有する関係を作っていることです。
- 月次で、出荷数だけでなく販売数と在庫の報告を求める
- 配荷している店舗のリストの共有を求める
- 年1回以上は現地に行き、店頭を実際に見る
- 販促費の使途と効果を、金額ベースで確認する
これらは信頼していないから求めるのではなく、次の一手を一緒に考えるために必要な情報だと説明すれば、まともな代理店は応じます。応じない相手であれば、それ自体が判断材料です。