日本ブランドの海外展開で、最初の市場として台湾が選ばれる割合は突出しています。感覚的な「近くて親日だから」ではなく、実務上の理由が複数重なっているためです。
選ばれる4つの構造的理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 物流 | 航空便で短時間、海上便でも短期。賞味期限が短い商品でも成立しやすい |
| 嗜好 | 日本製品への理解が深く、日本での売れ方がそのまま通用しやすい |
| 言語 | 繁体字。日本語の商品説明が部分的に理解される場面もある |
| 情報 | 日本のトレンドがリアルタイムで伝わり、発売前から認知がある場合がある |
とくに日本での売れ方がそのまま通用しやすい点は大きい。他市場では訴求を組み直す必要がありますが、台湾では日本での訴求が比較的そのまま機能します。これは初期コストを大きく下げます。
検証市場としての価値
台湾は市場規模としては大きくありませんが、検証市場としての価値が高い。ここで売れなければ他のアジア市場でも厳しい、という判断材料になります。
逆に台湾で売れたからといって、他市場でも売れるとは限りません。台湾の日本親和性は特殊であり、成功の再現性は低いと考えるべきです。
落とし穴1:すでに並行輸入されている
台湾は日本製品の並行輸入が最も活発な市場のひとつです。正規参入する前から、自社製品がすでに流通していることが珍しくありません。
これは需要の証明である一方、価格の基準がすでに決まっていることを意味します。正規品として代理店マージンを乗せた価格が、既存の並行輸入価格より高くなり、売れないという事態が起きます。
落とし穴2:競争密度が高い
日本ブランドにとって入りやすいということは、他の日本ブランドにとっても入りやすいということです。台湾市場は日本ブランド同士の競争が最も激しい市場です。
また韓国ブランドの浸透も深く、店頭の棚はすでに飽和しています。「日本製だから」という理由だけでは棚が取れません。
落とし穴3:規制を軽く見がち
文化的に近いため、規制も緩いだろうと思い込むのが最大の落とし穴です。実際には、化粧品・食品ともに登録と表示の要件が明確に定められており、手続きは他のアジア市場と同等以上に厳格です。
成分の制限、効能表現の規制、表示項目の指定。いずれも確認が必要です。「近いから簡単」という前提で計画を立てると、必ず遅れます。
それでも1市場目に適している
落とし穴を挙げましたが、それでも台湾が1市場目として適していることに変わりはありません。失敗しても学びが取れる市場だからです。
距離が近いので現地に行ける。言語の壁が相対的に低いので情報が取れる。反応が早いので結果が数か月で見える。海外展開の型を作るための練習市場として、これ以上の条件はなかなかありません。