海外展開のプロジェクトが迷走するのは、ゴールが「海外で売れること」という一点しか置かれていないからです。Tempura OS は実務を参入準備・参入直前・参入後の3フェーズに切り、それぞれに終了条件を持たせています。
フェーズを切る目的は、止まる場所を作ること
フェーズを切る本当の目的は、進捗管理ではありません。意思決定のために立ち止まる場所を、あらかじめ用意しておくことです。
終了条件のないプロジェクトでは、調査がいつまでも続きます。「まだ情報が足りない」という理由で判断が先送りされ、気づけば一年が経っている。これは怠慢ではなく、止まる場所が設計されていないことの必然的な結果です。
Phase 01|参入準備 — 進出先を1〜2に絞る
最初のフェーズの終了条件はシンプルです。進出先を1〜2に絞り、その市場で売る製品と価格を決めること。ここで13市場すべてを深掘りしようとすると、必ず時間切れになります。
- 市場選定:需要・競合・規制難易度・参入コストの4軸で比較する
- 規制の事前判定:現行の処方・表示のまま出せるかを市場ごとにスクリーニング
- 価格設計:関税・輸送費・代理店マージン・現地小売価格から逆算する
- この段階で「不可」が出た市場は候補から外す。処方変更してまで狙うかは別途判断する
Phase 02|参入直前 — 出荷できる状態を作る
2つ目のフェーズの終了条件は、初回出荷が物理的に可能な状態です。登録が通り、パートナーと契約し、物流ルートが決まっている状態を指します。
- 製品登録・認証の申請と取得(市場によっては数か月かかる)
- パートナー選定と契約条件の合意(独占権・最低発注量・支払条件)
- 物流の設計(輸送手段、通関書類、倉庫、リードタイム)
- 販路の確定(モール出店、小売への配荷、自社EC)
このフェーズは工程が並列に走るため、抜けが出やすい区間です。登録は完了したのに現地の輸入者登録が済んでいない、パッケージの現地語表示が間に合わない、といった詰まり方が典型です。
Phase 03|参入後 — 数字を見て、次を決める
3つ目のフェーズには終わりがありません。代わりに、判断のサイクルがあります。売れているのか、なぜ売れて/売れていないのか、何を直すのか、次にどこへ進出するのか。
多くの会社がここで失速します。出すまでは全社の関心事だったのに、出した後は現地代理店任せになり、数字が上がってこない。半年後に「思ったより売れていない」とだけ分かる、という状態です。
- 売上・在庫データを、モール/代理店/自社ECを横断して統合する
- 現地語レビューを読み、品質・価格・使用感のどこに評価と不満があるかを分ける
- 改善(処方・パッケージ・価格・訴求)の優先順位を決める
- 構造が似た隣接市場へ横展開する
フェーズを戻ることは失敗ではない
参入直前で規制の壁に当たり、参入準備に戻ることはよくあります。これは計画の失敗ではなく、フェーズを切っているからこそ戻れるという設計の効果です。
フェーズがない進め方では、同じ状況で「もう投資したのだから進めるしかない」という判断になりがちです。どこまで戻ればよいかが分かることが、撤退や方針転換の判断を軽くします。