サウジアラビアはGCCで最大の市場です。人口規模も購買力も大きく、狙う価値は明確にあります。一方で要件が厳格で、準備が甘いと進まない市場でもあります。UAEの延長として考えず、別の設計が必要です。
なぜUAEより難しいのか
難易度の差は、制度の複雑さというより運用の厳格さにあります。
| 項目 | UAE | サウジアラビア |
|---|---|---|
| 書類の要求水準 | 標準的 | より詳細な裏づけを求められる |
| アラビア語表示 | 必要 | 記載内容まで厳格に確認される |
| ハラール要件 | 対象品目で必要 | より広く、厳格に適用される |
| 審査期間 | 比較的短い | 長くなる傾向。追加照会も多い |
| 事業者要件 | 外資の活動余地が広い | 現地事業者の関与が前提 |
事業者側の準備が重い
サウジアラビアでの製品登録は、現地の輸入者・販売者が申請主体になります。かつ、その事業者自身が当局への事業者登録を済ませている必要があります。
したがってパートナー選定では、次を確認する必要があります。
- 当局への事業者登録が完了しているか
- 自社製品と同じカテゴリの登録実績があるか
- 過去の申請で却下・差し戻しの経験があるか(あれば理由を聞く)
- 登録名義を誰にするか、契約終了時の扱いをどうするか
ハラールを、前提として設計する
サウジアラビア市場では、対象となる品目についてハラール適合が事実上の前提になります。食品はもちろん、化粧品でも動物由来成分やアルコールの扱いが問われます。
- 原料レベルで、動物由来成分の有無と由来を確認する
- エタノールの使用有無と、由来・残存量を確認する
- 製造工程で、非ハラール成分との交差がないかを確認する
- 必要な場合、認定機関による認証を取得する(数か月かかる)
重要なのは、最終製品ではなく原料と工程のレベルで確認が要る点です。製造委託先の協力が不可欠になるため、早い段階で相談してください。
アラビア語表示の要求水準
サウジアラビアではアラビア語表示が厳格に運用されます。表示項目の欠落だけでなく、訳語が規制上の用語と一致しているかまで確認されます。
実務上の対応は次の2択です。
- サウジアラビア向け専用パッケージを製造する(コストは高いが確実)
- アラビア語ステッカーを貼付する(柔軟だが、貼付要件の確認が必要)
ステッカー対応の場合、貼付作業をどこで行うか(日本の工場か、現地の倉庫か)が物流設計に影響します。現地貼付なら、その作業を誰が行うかを契約で決めておく必要があります。
計画期間の置き方
サウジアラビア市場の計画では、登録リードタイムを長めに見積もるのが鉄則です。追加照会が入ることを前提に、余裕を持った期間設定をしてください。
発売時期を固定してしまうと、遅延が発生したときにパートナーとの関係が悪化します。「登録完了後◯か月で発売」という相対的な計画にしておくほうが、実務上は健全です。