GCC6カ国は制度が近く、書類を流用しやすい数少ない地域です。この特性を理解すると、横展開のコストが大きく下がります。ただし「近い」は「同じ」ではありません。
共通して求められるもの
6カ国で共通して要求される書類は、おおむね次の通りです。一度揃えれば、各国での再取得は基本的に不要です。
- 全成分表(配合率を含む場合がある)
- 自由販売証明書(日本で適法に販売されていることの証明)
- 製造所のGMP証明または同等の製造管理証明
- 製品仕様書・規格
- 安全性に関する試験成績書
- ラベル案(アラビア語表示を含む)
国ごとに違うもの
| 項目 | 差の内容 |
|---|---|
| 申請者の要件 | 現地事業者の関与範囲、必要なライセンスの種類が異なる |
| 審査期間 | 国によって大きく異なる。同じ書類でも所要時間が違う |
| ハラールの適用範囲 | 対象品目と厳格さが国ごとに違う |
| アラビア語表示の運用 | 確認の厳しさ、許容される表現に差がある |
| 手数料 | 国ごとに異なる。品目数に応じて増える |
横展開の順序
実務的に効率がよいのは、次の順序です。
- UAE:制度が明確で、書類の型を作れる。再輸出ハブとしても機能する
- サウジアラビア:市場が最大。要件が厳しいので、UAEで型ができてから
- カタール・クウェート:市場規模は中程度。UAEの書類が活きやすい
- バーレーン・オマーン:規模は小さいが、既存の書類で追加登録しやすい
ただしこれは一般論です。既存の代理店がどの国をカバーしているかによって、最適な順序は変わります。域内複数国をカバーするパートナーがいれば、その範囲に合わせるほうが速い。
ひとつの代理店に任せるか、国ごとに分けるか
GCCでは、複数国をカバーする流通業者が存在します。1社に任せられれば管理は楽ですが、判断は慎重にすべきです。
- 1社に任せる利点:交渉と管理が一本化される。書類の共有が効率的
- 1社に任せる欠点:実際には注力する国が偏り、他国が放置される
- 国ごとに分ける利点:各国の実情に合った相手を選べる
- 国ごとに分ける欠点:管理コストが増える。価格の整合を保つのが難しい
実務上は、UAEとサウジアラビアは分け、それ以外はまとめるという形が機能しやすい。この2国は市場性格が違いすぎて、同じ相手が両方を得意とすることは稀です。
再輸出という選択肢
UAEは域内の再輸出ハブとして機能しており、UAEに入れた在庫を周辺国へ送る形が取られることがあります。物流効率は良い一方で、再輸出先での製品登録が別途必要である点は変わりません。
「UAEに登録したから周辺国でも売れる」という理解は誤りです。物流の経路と、規制上の登録は別の話として扱ってください。