契約時に最も曖昧にされ、後で最も揉めるのが販促費です。「一緒に頑張りましょう」で始まると、必ず食い違います。事前に決めておくべき項目を挙げます。
販促費の内訳
「販促費」と一言で言っても、性質の違う費用が含まれます。
| 費目 | 内容 | 一般的な負担 |
|---|---|---|
| 広告 | デジタル広告、現地メディア | 折半または代理店 |
| 店頭什器 | 棚、什器、POP | メーカー提供が多い |
| サンプル | 無償提供分 | メーカー負担が多い |
| 販売員 | 店頭の販売スタッフ | 代理店または折半 |
| 棚代・リスティング料 | 小売に支払う陳列費用 | 代理店。ただし価格に転嫁される |
| イベント・展示会 | 出展費、什器、人件費 | 折半が多い |
| インフルエンサー | 起用費、商品提供 | 折半または代理店 |
分担の3パターン
- 定率型:売上の◯%を販促費として、双方が拠出する。最も公平で管理しやすい
- 定額型:年間の販促予算を決め、分担比率を定める。予算が読める
- 個別合意型:施策ごとに都度協議する。柔軟だが手間がかかり、揉めやすい
1番目の定率型が最も推奨できます。売上に連動するため、双方の負担が実態に見合います。売れなければ負担も減るので、リスクも限定されます。
実行と報告をセットにする
費用を出すだけでは意味がありません。実行と報告を条件にすべきです。
- 年間の販促計画:期初に提出させる
- 実施報告:何を、いつ、いくらで実施したか
- 効果の報告:実施前後の販売数、露出数
- 証憑:一定額以上は領収書または請求書の提示
報告がない販促費は、実質的に値引きと同じです。相手のマージンに吸収され、実行されない可能性があります。
什器とサンプルの扱い
現物提供には、費用とは別の論点があります。
- 什器:所有権は誰にあるか。契約終了時に返却するか
- サンプル:数量の上限、用途の制限(転売の禁止)
- 販促物:デザインの承認、現地での改変の可否
- 輸送費:現物の輸送費は誰が負担するか
サンプルの転売は実際に起きる問題です。無償提供品が現地のECで売られていた、というケースがあります。用途の制限を契約に入れておくべきです。
初年度は厚めに、以降は実績連動
実務的な設計として推奨できるのは、次の形です。
- 初年度:立ち上げのため、メーカー側が厚めに負担する(認知形成への投資)
- 2年目以降:売上に対する定率型に移行する
- 上限を設定する:定率であっても、年間の上限額を決めておく
- 見直し条項:年1回、実績を見て比率を見直す
初年度の投資は必要ですが、それを恒久的な条件にしないことが重要です。最初の条件が既得権になると、後から変更できなくなります。