「海外で売るには登録が必要」と言われても、何の登録で、誰が申請し、何を用意するのかは市場ごとに違います。ただし構造は共通しています。この記事では、13市場に共通する骨格を先に押さえます。
まず、4種類の手続きを区別する
実務で「登録」と呼ばれるものには、性質の違う4種類が混在しています。
| 種類 | 内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| 事業者の登録 | 輸入者・販売者としての資格。現地法人が取得する | 相手次第 |
| 製品の登録/届出 | 製品ごとに当局へ申請または通知する | 市場と品目による |
| 認証の取得 | ハラール、適合性評価など、第三者機関による証明 | 時間がかかる |
| 通関書類 | 出荷ごとに必要な書類(インボイス、原産地証明など) | 定型的 |
登録制と届出制で、負荷がまったく違う
製品の手続きは、大きく登録制と届出制に分かれます。この違いがリードタイムを決めます。
- 登録制:当局が審査し、承認されて初めて販売できる。数か月かかる。書類不備で差し戻される
- 届出制:所定の情報を届け出れば販売できる。短期間。ただし責任は事業者側に残る
同じ市場でも、品目によって制度が違います。化粧品は届出でも、機能性を訴求する製品は登録、というように分岐するのが一般的です。自社製品がどちらに分類されるかの確認が最初の仕事です。
どの市場でも要求される書類
市場ごとに差はありますが、次の書類はほぼ共通して求められます。先に揃えておくと、どの市場に参入するとしても無駄になりません。
- 全成分表:市場によっては配合率まで。製造元が開示に応じるかを事前に確認する
- 自由販売証明書:日本国内で適法に販売されていることの公的証明
- 製造所の証明:GMPなど、製造管理体制に関する証明
- 製品仕様書:規格、容量、包装形態
- ラベル案:現地語表示を含む、実際のパッケージデザイン
- 安全性の裏づけ:試験成績書、既存の安全性データ
実務上、最も時間がかかるのは自由販売証明書と製造所の証明です。取得に数週間かかるため、市場を決めたら真っ先に着手すべき項目です。
確認すべき順序
手続きを効率よく進めるには、順序が決定的に重要です。
- カテゴリ分類:現地でその製品が何に分類されるかを確定する
- 成分の可否:使用禁止・制限成分に触れていないかを確認する
- 制度の種類:登録制か届出制か、誰が申請者になるかを確認する
- 必要書類:リストを作り、社内で用意できるものと外部取得が要るものに分ける
- 表示要件:現地語ラベルの必須項目と禁止表現を確認する
- 期間とコスト:申請から承認までの想定期間を計画に織り込む
1番目のカテゴリ分類を飛ばすと、すべてがやり直しになります。日本で化粧品でも、現地では別区分として扱われる製品は珍しくありません。
リードタイムは、計画の前提になる
登録にかかる期間は、市場と品目によって数週間から1年近くまで幅があります。この期間は圧縮しにくく、計画の前提として先に置くしかありません。
実務上よくある失敗は、展示会や商戦期に合わせて発売日を決め、そこから逆算せずに登録に着手することです。結果として最需要期を逃し、次の年まで待つことになります。
発売したい時期が決まっているなら、そこから逆算していつまでに書類を揃えるかを決めてください。これが海外展開のスケジュール管理の中心です。