ラベルは、規制対応の中で最も軽く見られ、最も頻繁に差し戻される領域です。翻訳の問題ではなく、規制の問題だと理解することが出発点になります。
どの市場でも求められる項目
市場ごとに細部は違いますが、次の項目はほぼ共通して要求されます。
- 製品名(と、必要に応じて用途)
- 全成分表示(表示順序の規定がある場合が多い)
- 内容量(現地の単位表記)
- 製造者の名称・所在地
- 輸入者・現地販売者の名称・所在地
- 製造年月日/使用期限/開封後使用期間
- ロット番号・バッチ番号
- 使用方法
- 使用上の注意・保管方法
ステッカー対応の実務
現地専用パッケージを作らず、既存パッケージにステッカーを貼る対応が広く行われています。安価で柔軟ですが、制約があります。
- 既存の必須表示を隠してはならない(成分表示や期限表示の上には貼れない)
- 剥がれにくい素材・接着が必要
- 貼付スペースをパッケージ設計時に確保しておく必要がある
- 誰がどこで貼るか(日本の工場か、現地の倉庫か)を決める必要がある
- 貼付コストと人件費が、市場ごとに積み上がる
数量が増えると、専用パッケージを作るほうが結果的に安くなる分岐点が来ます。年間数量で試算して判断してください。
訳語は、規制上の用語に合わせる
翻訳で最も問題になるのが、成分名と注意表示の訳語です。一般的な翻訳としては正しくても、規制上定められた表記と一致しないと差し戻されます。
- 成分名:現地の表示ルールで定められた名称を使う(INCI名の扱いも市場により異なる)
- 注意表示:定型文が定められている場合がある
- 単位:現地の慣行に合わせる
- 日付表記:形式の指定がある市場がある
機械翻訳や一般の翻訳会社に任せると、ここで必ず問題が出ます。現地の登録代行者にラベル案の確認を依頼するのが最も確実です。
書いてはいけないこと
必須項目より重要なのが、禁止表現です。市場によって範囲は異なりますが、共通する傾向があります。
| 類型 | 例 | 理由 |
|---|---|---|
| 医薬品的な効能 | 治る、改善する、予防する | 製品区分を超える |
| 断定的な効果 | 必ず、確実に、100% | 誇大表示に該当しうる |
| 比較優位の断定 | 世界一、最高、No.1 | 根拠の提示が求められる |
| 安全性の断定 | 副作用なし、絶対に安全 | 断定できない |
| 未承認の機能性表示 | 特定の健康効果の訴求 | 別区分の手続きが必要になる |
ラベル以外も、規制の対象
見落とされがちですが、規制の対象はパッケージだけではありません。ECの商品ページ、広告、SNS投稿、店頭POP。これらも表示・広告規制の対象になります。
実務上、ここは代理店やモール運営者が現地の慣行で作ることが多く、ブランド側が把握していないことがあります。トラブルを避けるには、使ってよい表現・使ってはいけない表現のリストを、こちらから提供するのが確実です。