海外展開で最初に行うべき作業が、成分スクリーニングです。市場選定と同時に行うべき工程であり、後回しにすると計画全体が崩れます。この記事では、実際の判定手順を順に追います。
準備するもの
スクリーニングを始める前に、次を揃えます。ここが不完全だと、判定そのものができません。
- 全成分表:表示名だけでなく、INCI名や化学名まで
- 配合率:市場によっては上限値との比較が必要
- 原料の由来:植物由来か動物由来か、合成か
- 製品カテゴリ:現地でどの区分に該当するか
- 使用部位・使用方法:洗い流すか残すか、粘膜に触れるか
判定の4段階
- 禁止成分:使用禁止リストに該当するものがないか。該当すれば即「不可」
- 制限成分:配合上限や使用条件があるものが含まれていないか
- 要許可成分:使用にあたって追加の届出や証明が必要なものがないか
- 区分を変える成分:含まれることで製品区分が変わるものがないか
4番目が最も見落とされます。ある成分が入っているだけで化粧品から別区分に移り、必要な手続きがまるごと変わることがあります。
判断が割れやすい領域
| 領域 | なぜ割れるか |
|---|---|
| 植物エキス | 同じ植物でも部位・抽出方法で扱いが変わることがある |
| 香料 | 複合原料として扱われ、内訳の開示が必要になる場合がある |
| 防腐剤 | 配合上限が市場ごとに異なり、複数併用時の合算規定がある |
| 紫外線吸収剤 | 使用可能リストが市場ごとに異なる |
| 機能性を示唆する成分 | 含有量や訴求によって区分が変わる |
これらは条文の読み方だけでは決まらず、実際の審査運用に左右されます。最終判断は現地の登録代行者に確認するのが確実です。
「要対応」の中身を分ける
スクリーニングの結果が「要対応」だった場合、対応の重さで大きく分けて判断します。
- 軽い(数日〜数週間):表示の書き換え、訴求文言の変更、書類の追加取得
- 中程度(1〜3か月):配合率の調整、原料の切り替え、追加試験の実施
- 重い(半年以上):処方の再設計、安定性試験のやり直し、専用品の開発
同じ「要対応」でも、この3つは経営判断としてまったく別物です。スクリーニングの出力には、必ず対応の重さを含めるべきです。
スクリーニングを、市場選定に使う
スクリーニングの本来の使い道は、個別市場の可否判定だけではありません。13市場を横断して行い、市場選定の材料にすることです。
「A市場は現行処方でそのまま出せる/B市場は表示変更のみ/C市場は処方変更が必要」と並べれば、参入順序は自然に決まります。需要だけで市場を選び、後から規制で詰まるという順序を避けられます。