日本国内で使っている訴求が、そのまま海外で使えることは稀です。しかも問題になるのはパッケージだけでなく、商品ページや広告のすべて。ここを軽視すると、販売停止や罰則につながります。
規制の構造は、どこも同じ
市場ごとに細部は違いますが、構造は共通しています。製品の区分ごとに、表示してよい範囲が決まっているという形です。
| 区分 | 表示できる範囲の傾向 |
|---|---|
| 一般化粧品 | 外観・清潔・保護に関する表現に限られる |
| 機能性を認められた化粧品 | 認められた機能の範囲で表現できる |
| 一般食品 | 味・栄養成分の事実表示に限られる |
| 機能性を認められた食品 | 認められた機能の範囲で表現できる |
| 医薬品 | 治療・予防に関する表現が可能 |
つまり言いたいことがあるなら、その区分の手続きを取るのが原則です。区分を超えた表現は、どの市場でも規制の対象になります。
日本の感覚が通じない典型例
- 「薬用」:日本の医薬部外品の表現。海外ではそのまま使えない市場が多い
- 「美白」:市場によって扱いが大きく異なり、表現の可否が分かれる
- 「アンチエイジング」:許容範囲が市場ごとに違う
- 「無添加」:何が無添加なのかの明示を求められる市場がある
- 「天然」「オーガニック」:定義や認証を求められる場合がある
- 「〇〇に効く」:ほぼすべての市場で、化粧品・食品では使えない
市場横断で使える訴求の作り方
市場ごとに文言を作り分けるのは現実的ではありません。実務的な解は、どの市場でも使える核を作り、市場ごとに足し引きする設計です。
- 事実を核にする:成分名、産地、製法、容量、使用方法。事実の記述は規制されにくい
- 体感ではなく組成で語る:「しっとりする」より「〇〇を配合」
- 比較を避ける:他社比較や最上級表現は根拠を求められる
- 市場ごとに、使える機能表現を追加する(削るより足すほうが管理しやすい)
事実ベースの訴求は、翻訳しても意味が失われないという副次的な利点もあります。
対象はパッケージだけではない
規制の対象範囲を、あらためて確認してください。
- パッケージ・ラベル
- ECモールの商品ページ(画像内のテキストを含む)
- 自社サイトの製品説明
- 広告(デジタル、紙、店頭)
- SNSの投稿
- インフルエンサーによる紹介(依頼した場合)
- 販売員への説明資料
画像内のテキストは特に見落とされます。アジアのモールでは商品説明が画像で構成されるため、そこに規制対象の表現が入り込みやすい。
代理店に任せきりにしない
現地の商品ページや広告は、代理店やモール運営者が作ることが多い。彼らは売るために強い表現を使いたがります。
問題が起きたとき、責任はブランド側にも及びます。防ぐには、使用可能な表現と禁止表現のリストを、こちらから提供すること。そして定期的に実際のページを確認することです。
「現地のことは現地に任せる」は、規制に関しては通用しません。