製品登録の名義を誰にするか。契約交渉の中では細かい論点に見えますが、後から変更が効かない決定の代表です。ここを間違えると、代理店を変えられなくなります。
なぜ名義が問題になるのか
多くの市場では、製品登録の名義人は現地に法人を持つ事業者である必要があります。日本のメーカーが直接名義人になれない市場が大半です。
このため実務では、代理店の名義で登録することになります。すると次の事態が起きます。
- 代理店との契約が終了すると、登録も一緒に失われる
- 新しい代理店で、一から登録を取り直すことになる
- 取り直しの期間中、その市場での販売が完全に止まる
- 代理店がそれを知っているため、交渉で強い立場に立つ
選択肢は3つ
| 名義 | 利点 | 欠点 |
|---|---|---|
| 代理店 | 追加コストなし。すぐ始められる | 契約終了時に登録を失う。乗り換えが困難 |
| 自社の現地法人 | 完全にコントロールできる | 法人設立のコストと時間、維持費用 |
| 第三者(規制代行会社) | 中立。代理店を変えても登録が残る | 代行費用が継続的に発生する |
市場と規模によって最適解は変わりますが、本気で取りにいく市場では、代理店名義を避けるのが原則です。
第三者名義という現実的な解
現地法人を持たない企業にとって、最も現実的なのが規制代行会社を名義人にする方法です。市場によってはこの形が制度的に認められています。
- 代行会社は販売に関与しないため、利害が対立しない
- 代理店を変更しても、登録は維持される
- 複数の代理店を並行して使う場合にも対応できる
- 費用は継続的に発生するが、登録取り直しのコストより安いことが多い
ただし、すべての市場でこの形が使えるわけではありません。市場ごとに制度を確認する必要があります。
代理店名義にせざるを得ない場合の防御
制度上または実務上、代理店名義しか選べない場合もあります。その場合は契約書での防御が唯一の手段です。
- 登録移管条項:契約終了時、登録を自社または自社指定の第三者に移管する義務を定める
- 協力義務:移管手続きに必要な書類の提供と手続きへの協力を義務づける
- 違反時の措置:協力しない場合の違約金または損害賠償を定める
- 登録情報の共有:登録番号、証明書の写し、更新期限を自社にも共有させる
更新期限を、自社で把握する
名義が誰であれ、登録には有効期限があり、更新が必要です。代理店任せにしていると、更新漏れで販売が止まることがあります。
最低限、次の情報は自社で管理してください。
- 市場ごとの登録番号と名義人
- 登録日と有効期限
- 更新に必要な書類と、そのリードタイム
- 更新手続きの担当(誰が、いつまでに動くか)
これは信頼の問題ではなく、管理の問題です。相手も忘れます。