同じ製品でも、市場によってどの棚に置かれるかがまったく違います。日本での売り方をそのまま持ち込むと、そもそも棚に届きません。チャネル構造を読むことは、市場理解の中心です。
13市場のチャネル類型
| 類型 | 該当市場の傾向 | 特徴 |
|---|---|---|
| コンビニ主導型 | タイ、台湾 | 店舗数が多く、回転が速い。小容量・低単価が向く |
| モール主導型 | UAE、サウジ、マレーシア | 大型商業施設が消費の中心。滞在型の購買 |
| ドラッグストア主導型 | 台湾、香港、タイ | 化粧品・日用品の主戦場。棚の競争が激しい |
| EC・SNS主導型 | ベトナム、インドネシア | オンラインの比重が高い。ライブコマースが機能する |
| 高級小売主導型 | シンガポール、カタール | 百貨店・高級スーパー。高価格帯が成立する |
実際にはこれらが混在しますが、どれが主導かで戦い方が変わります。
チャネルが価格を決める
チャネルの選択は、価格の選択とほぼ同義です。
- コンビニ:低単価・小容量。マージンは高め。回転が命
- ドラッグストア:中単価。販促と棚代の負担が発生する
- モール内専門店:中〜高単価。ブランド体験を作れる
- 百貨店:高単価。ブランド価値を守れるが、量は出ない
- EC:価格が可視化され、比較される。値崩れしやすい
SNS販売という独自チャネル
東南アジアの一部市場では、SNS上での販売が独自の規模を持っています。従来のECモールとも実店舗とも違う経路です。
- ライブ配信で紹介し、その場で注文を取る
- メッセージ機能を通じて個別に取引する
- 個人事業者・小規模事業者が担い手になる
- 価格と在庫の管理が難しい
このチャネルを無視すると市場の実像を見誤りますが、コントロールが効きにくいという難しさもあります。代理店契約でこのチャネルの扱いをどうするか、事前に決めておくべきです。
業務用という別の入り口
食品カテゴリでは、小売とは別に業務用の経路があります。日本食レストラン、ホテル、カフェ。
- ロットが読みやすく、リピートが安定する
- 小売より表示要件が緩い場合がある
- 現地のプロが使うことで、消費者認知が後から立ち上がる
- 在庫リスクが小さい
業務用で足場を作ってから小売に広げる順序は、食品では特に相性が良い進め方です。
チャネル構造をどう調べるか
机上の資料では実態が分かりません。実務的な調べ方は次の通りです。
- 現地のECモールで、同カテゴリの上位商品を見る(価格帯と競合が分かる)
- 現地のSNSで、そのカテゴリがどう紹介されているかを見る
- 実際に現地に行き、主要チャネルの棚を見る(最も確実)
- パートナー候補に、取引先のチャネル別内訳を聞く
- すでに入っている日本ブランドが、どのチャネルにいるかを確認する
最後の項目が特に有効です。先行ブランドの配荷先は、その市場での現実的な着地点を教えてくれます。