タイは東南アジアで日本製品への需要が安定して高い市場です。制度は整備されており、手続きの見通しは立てやすい部類に入ります。ただし化粧品と食品で難易度がかなり異なります。
化粧品 — 届出中心の制度
タイの化粧品は、届出を行うことで販売可能になる制度が採られています。登録制の市場に比べるとリードタイムが短いのが利点です。
ただし届出制であることは、要件が緩いことを意味しません。届け出た内容に責任が伴い、成分の適合性や表示の正確性は事業者側が担保する必要があります。
- 現地の輸入者・販売者が届出の主体になる
- 成分は、使用禁止・制限リストへの適合が前提
- 製品情報ファイルの整備と保管が求められる
- 表示はタイ語が必要
食品 — 登録が必要で、時間がかかる
食品は化粧品より重い手続きになります。製品ごとの登録に加えて、製造所に関する要件が問われることがあります。
- 現地の輸入者が、食品の輸入事業者としての許可を持っているか確認する
- 製品のカテゴリ分類を確定する(一般食品か、特定用途食品か)
- 成分・添加物の適合性を確認する
- 栄養成分表示の要件を確認する
- 製造所に関する証明を用意する
- 製品登録を申請し、承認を得る
タイ語表示の要件
いずれのカテゴリでも、タイ語での表示が必要です。表示項目は品目により異なりますが、共通して次が求められます。
- 製品名
- 成分表示
- 内容量
- 製造者・輸入者の名称と所在地
- 製造日・賞味期限または使用期限
- 使用方法・保存方法
- ロット番号
ステッカー対応が一般的ですが、貼付によって既存の必須表示を隠してはならない点に注意が必要です。パッケージ設計の段階で貼付スペースを確保しておくと、後の作業が楽になります。
輸入者の能力が結果を分ける
タイでの手続きは、輸入者の実務能力に強く依存します。届出・登録の経験がある相手かどうかで、所要期間が数倍変わります。
パートナー候補には、次を具体的に聞いてください。
- 同カテゴリの製品を、過去に何件届出・登録したか
- 直近の案件で、申請から販売開始まで何か月かかったか
- 差し戻しが発生した経験と、その理由
- 登録名義を誰にするか、契約終了時にどうなるか
賞味期限と物流の制約(食品)
タイへの海上輸送は比較的短期間ですが、通関と現地物流を含めると相応の日数がかかります。食品では残存賞味期限が小売の受け入れ条件になるため、逆算が必要です。
賞味期限が短い製品は、航空便を使うか、そもそも輸出対象から外すかの判断になります。製品選定の段階で確認すべき項目です。