海外展開の計画は、単年度では短すぎ、5年では遠すぎます。3年が、実務の実感と合う単位です。この記事では、3か年計画の骨格を示します。
なぜ3年なのか
1市場に参入して結果が見えるまでのサイクルが、実際におおよそ次の通りだからです。
- 準備と登録:数か月〜1年
- 初回出荷から市場での初期評価:半年
- 改善と定着:半年〜1年
- 横展開の判断:ここまでで約2年
- 2市場目の立ち上げ:3年目
1市場で完結せず、横展開の入り口まで到達するのが3年です。これより短いと結果が出ず、長いと計画が形骸化します。
1年目 — 型を作る
| 項目 | 目標 |
|---|---|
| 市場 | 1市場に絞って参入する |
| 成果 | 初回出荷とリピート発注の獲得 |
| 資産 | 書類一式の整備、規制判定の完了(13市場分) |
| 学習 | 実際の期間・費用の実績値を記録する |
| KPI | 売上ではなく、進捗と手戻り回数で評価する |
2年目 — 深めて、広げる準備をする
- 1市場目の数字を読み、改善を実行する(処方、価格、訴求、パッケージ)
- 購買理由を特定する(次の市場選定の根拠になる)
- 2市場目の候補を、1市場目のデータをもとに選定する
- 2市場目の書類準備と登録申請を開始する
- 管理の仕組み(台帳、価格表、標準契約書)を整備する
2年目に管理の仕組みを作ることが、3年目以降の速度を決めます。ここを飛ばすと、市場が増えたときに破綻します。
3年目 — 横展開し、収益構造を作る
- 2市場目を立ち上げる(1市場目より短期間で到達できるはず)
- 1市場目の収益を安定させる
- 3市場目以降の候補を、2市場分のデータから選ぶ
- 体制を見直す(専任配置、現地法人、パートナー再編)
- 3年間の実績をもとに、次の3か年を描く
2市場目の立ち上げ期間が、1市場目より明確に短くなっているか。これが3か年計画の成否を測る最も重要な指標です。短くなっていなければ、蓄積ができていません。
計画に必ず含めるべき3つ
- 撤退条件:どうなったら止めるか。各年ごとに設定する
- 投資上限:3年間の総額。年ごとの配分
- 判断のタイミング:四半期ごとのフェーズ判定と、年次の継続判断
これらがない計画は、必ず漂流します。止める条件を書いた計画のほうが、承認されやすいという実務的な利点もあります。
計画は、実績で更新する
3か年計画は固定するものではありません。1年目で得た実績値(登録にかかった実日数、実際の関税率、代理店マージンの相場)で、2年目以降の計画を更新すべきです。
最初の計画の精度は低くて構いません。重要なのは、実績で更新できる形になっているかどうかです。