現地法人の設立は、海外展開で最も重い投資判断です。作れば解決する問題と、作っても解決しない問題を区別することが、判断の出発点になります。
現地法人で解決すること
- 製品登録を自社名義で持てる:代理店を変えても登録が残る
- 価格とチャネルをコントロールできる:代理店の方針に左右されない
- 現地の情報が直接入る:市場の状況を一次情報で把握できる
- 複数の販路を並行して使える:小売、EC、業務用を同時に展開できる
- 現地での採用ができる:言語と商習慣を持つ人材を確保できる
1番目が最も大きい。登録名義の問題は、現地法人でしか根本的に解決しません。
現地法人でも解決しないこと
- 規制対応の負担(自社でやることになるだけ)
- 製品が売れるかどうか(法人の有無とは無関係)
- 販路の構築(結局、小売や代理店との関係が必要)
- 本社の意思決定の遅さ(むしろ距離が増えて悪化することもある)
最も多い誤り売れないから現地法人を作るという判断は、ほぼ確実に失敗します。売れる理由がないまま固定費を増やすだけです。
検討すべきタイミング
次の条件が揃ったときが、検討の入り口です。
- その市場で継続的な売上が立っている:固定費を吸収できる規模
- 代理店経由での限界が見えている:配荷が広がらない、価格が制御できない
- 複数チャネルを同時に使いたい:代理店1社では対応できない
- 登録名義を自社に移したい:代理店依存を解消したい
- その市場に長期投資する意思がある:数年単位の視野
1番目が前提条件です。売上がない状態での設立は、判断ではなく賭けになります。
設立前に確認すべきこと
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 外資規制 | 外資100%が可能か、現地資本の参加が必要か |
| ライセンス | 輸入・販売に必要な事業ライセンスの取得可否と期間 |
| 固定費 | 賃料、人件費、会計・税務の費用。年間でいくらか |
| 人材 | 現地で採用できるか、駐在を置くか |
| 撤退コスト | 清算にかかる費用と期間 |
撤退コストを事前に確認しておくべきです。設立より清算のほうが手間と時間がかかる市場があります。
段階的な選択肢
いきなり法人を作る前に、中間的な選択肢があります。
- 駐在員事務所:営業活動はできないが、情報収集と関係構築ができる
- フリーゾーン法人:市場によっては設立が簡易。用途に制約がある
- 第三者を登録名義人にする:登録の問題だけを解決する
- 現地人材の業務委託:法人を作らずに現地の実務を持つ
3番目は、登録名義の問題だけが動機なら十分な解になります。法人設立の目的が登録名義だけであれば、コストは大幅に下がります。